海外生活が長くなると、何が困るといって歯の悩みは大きい。何かの拍子に歯の具合が悪くなったらどうしよう? というのは、誰にとっても大きな問題だ。
たいていはビザの更新などで日本に帰った時に治療するという形を取っているみたいだけど、急な治療はそうはいかない。かといって、成都は日本からかなり離れているので、歯の治療の度に日本に帰るわけにはいかない。仕事を持っている人だっているし、留学の途中で勉強を放り出して帰るというのもあまり勧められる方法じゃない。
そんなわけで、何とか現地で良い歯科医を見つけなければならない。
で、探してみたところ、案の定、成都の南に一件。南は外国人が一番多く住んでいる地域なので、あるとしたらそのエリアだろうと思っていたら正にドンぴしゃ。といっても、自分で見つけたんじゃなくて紹介されたんだけどね。
行ってみたところ、中国とは思えない清潔さ。医者は女性だったけど、客への説明の方法なども理路整然としていて、こちらの質問にもきちんと答えてくれる。外国人慣れしているという感じだ。これが中国人相手の歯医者だとそうはいかない。「オレのいう通りにしていればいいんだ」的に、高飛車な態度でこられてしまう。
さらに驚いたことには、この医院の基本的な用具は使い捨てなのだ。医師の手袋もそうだし、歯をつついたりするカギ型の耳かきみたいな棒(名前わかんないよ)もそうだし、口の中を覗く鏡(だから名前なんかわからないって)もそうだ。患者の前で封を切って、新品を使う。日本でもここまでやっているところは少ないんじゃないだろうか。
気になるのは金額だけど、値段は日本の二倍から三倍といったところ。これだけ聞くと暴利に感じるかもしれないけど、日本に帰って治療するとしたら、まず国民健康保険再加入の手続きをしてから治療を受けることになる。夫婦二人で最低でも一万円は超えるだろう。そうなると、保険料を払ってさらに治療費を払うと、虫歯を詰めるくらいの治療ならこちらで倍払ってもまだ安い計算になってしまうのだ。
奥歯に銀歯などかぶせる治療になると、日本よりも1万円ほど高くなりそうだ。でも、かぶせた後のアフターケアを考えると、やっぱり多少高くてもすぐに通える歯医者の方が便利ということになる。それにかぶせる治療だと、日本ではかぶせる部分ができるまでの間、1ヶ月ほど日本に滞在しなければならない。
そう考えると、値段的にも、時間的にも、こちらで治療した方が遙かに便利なのだ。
ただし、良い医者を見つけたとしてももう一つ大きな問題がある。それは、“中国語で先生と会話ができる”こと。間違っても日本語で受け答えに応じてくれるなんて期待しちゃいけない。実は、これが一番の難問だ。

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